番外編)Razer Tiamat 7.1 V2でリアルサラウンド7.1chヘッドセットを気軽に導入|プレイユニット|SPLATOON アーキテクチャ・デザインパターン

番外編)Razer Tiamat 7.1 V2でリアルサラウンド7.1chヘッドセットを気軽に導入|プレイユニット|SPLATOON アーキテクチャ・デザインパターン

Splatoon Architecture番外編。リアルサラウンドヘッドセットの話です。
こういうコンセプトの製品自体が市場でもかなり希少なのですが、更にアナログ入力インターフェースを持つ機種となると、絶滅危惧種のような存在です。
今回は現行で存在する数少ないリアル7.1chサラウンドヘッドセットのRazer Tiamat 7.1の話です。

PCゲーマーの間ではそこそこ有名なこのヘッドセットですが、7.1chをアナログで出力できる環境なんてPC以外だとそこそこ大げさなAVアンプ(しかもプリアウトを装備した機種に限られる)のユーザーでないと用意できません。
PCですら7.1chサウンド出力に対応したマザーボードやサウンドカードが必要だったりと、PCゲーマーだからと言って誰でも恩恵にあずかれるかと言えばそうではありません。
そういった導入敷居の高さから、なかなか普及しないのですが、このヘッドセットでTPSはFPSをプレイすると、音から得られる敵の位置や距離感などの情報量が飛躍的にアップします。
これをなんとかスプラトゥーン2で利用できないかと考えてみました。
なにせリアルサラウンドヘッドセット界は、ASUSのSTRIX 7.1をはじめとし、USB接続が主流(というかほとんど)なので、CS機にとってのRazer Tiamat 7.1 は最後の望みに近い存在なのです。

有名なTPSである本ゲームですから、ネット上の先人も数名チャレンジしています。
かくいう僕も適用に向けて先人の様々な情報を参考にしました。そうした先人の情報も敬意を込めて掲載しておきましょう。

リアルサラウンドヘッドセットをCS機に適用する際に立ちはだかる2つの問題

1. 音声信号を取り出す

スプラトゥーン2はNintendo Switchのソフトですから、一般的なCS機で動作します。
CS機には一般的にHDMI端子しか存在せず、Tiamat7.1に音声を送るには、HDMI信号から音声を分離する必要があります。
また、SwitchのサラウンドはリニアPCM 5.1chというちょっと珍しい音質重視の仕様を採用しており、対応機材の調達にちょっと難儀します。(PS4も今やリニアPCMとビットストリームDTSのみとなりました)
一般的に多く採用されているドルビーデジタルなどの規格はS/PDIFや光デジタル同軸などを通すことができるのですが、リニアPCMは圧縮なしの原音を通している関係で、デジタル規格ではHDMIかDisplayportでしか通すことができず、分離した時点でアナログの7.1chにする必要があり、この分離形式に対応した機材がまあ見つからないのです。

現行(2018年9月現在)ではこの機種が有望です。
https://www.amazon.co.jp/dp/B071CKBZJF/
https://www.amazon.co.jp/dp/B076HMB31L/
※最近の中国メーカー系機材に多いAmazon上のOEM展開ですが、上記は同じものと考えられます。


先人時代の機材はもはやディスコンとなってしまっており、今はこの機種一択です。(リニアPCM 7.1ch用は基本的に5.1chと互換です。残りの2chに音声が流れてこない、というだけです)
なんかこう書くと先人の選定センスがないみたいな感じになりますがそうではなく、そのくらい需要が小さく、すぐディスコンになるような類の機材なだけです。
皆さんも気になったらすぐ買いましょう。ここで紹介している機材もいつまで存在するかわかりません。

また、この機材とTiamat 7.1を接続するには、RCAと3.5mmステレオミニジャックを変換するコネクタが3つ必要ですので、それも紹介しておきます。商品リンクは例で、同仕様のものであればなんでも構いません。
※7.1chを実現するには4つ必要ですが、Switchが5.1chのため今回は3つです。
https://www.amazon.co.jp/gp/B06ZYHJX9S/

2. サブウーファーチャンネルにバスリダイレクションを実現する

バスリダイレクションとは、入力された音声信号を内部で周波数ごとに分離して鳴らす場合の主に低音成分のみを抽出するパートのことです。逆をハイリダイレクションと言います。

例として3wayスピーカーの場合は入力音声をツイーター、ミドル、ウーファーの3つのコーンで最適に慣らすための周波数ごとに分離するチャンネルデバイダーという回路があります。
チャンネルデバイダーはそれぞれにクロスオーバー周波数を設けて、そのコーンで鳴らす最適な周波数のみを抽出した信号を各コーンに送ります。そうして3wayスピーカーはコーン毎に不得意な周波数成分を取り払い、よどみない音を実現しているのです。

PCのサウンドカードやマザーボードからの出力であればアプリケーションのイコライザやローパスフィルターで、CS機でもAVアンプであればサブウーファー用の端子に接続することで実現可能ですが、CS機の高価なAVアンプ無しの状態ではバスリダイレクションは実現することができませんでした。

HDMIからの音声分離において、先人が提案していた機材も今回僕が提案した機材もバスリダイレクションには対応していません。
これはなぜかというと、バスリダイレクションは再生側の機材の仕様に合わせて最適なクロスオーバー周波数や減衰幅を決定するので、音声ソース出力元や中継器で設定することにあまり意味がないからです。

実はこのことは長年Tiamat7.1ユーザーの悩みのタネでした。
わかっていながらサブウーファー端子をあえて刺さずに使っていたり、逆に音が軽くなることを覚悟してそのままさして使っていたり、このためにAVアンプを導入してプリアウトを利用して鳴らしていたりと、様々な環境でCS機へのTiamat適用を実現していたと思います。

これを解決する機材を発見しました。

バスリダイレクションのシンプルに実現する

この機材を使用します。
https://www.amazon.co.jp/gp/B07BVM276V/
※これも同一コンセプトのモジュールがいくつか存在します。レビューの具合などをみながら選定するのが良いかと思います。

これはカーオーディオ用のサブウーファーの低音成分調節機ですが、我々がAVアンプやPCのイコライザ上で試行錯誤して発見したTiamat 7.1における最適なクロスオーバー周波数帯と減衰幅にほぼ一致しています。
参考: https://www.4gamer.net/games/023/G002318/20130726110/
しかもCO周波数・減衰幅共に無段階調節。また減衰のみの適用となるため、理論上も実際の仕様も電源不要。
これをサブウーファーチャンネルの間に適用するだけで、高価なAVアンプを通した時と同様のバスリダイレクションが実現可能になります。
※実際に以前購入したYAMAHA RX-V777を通した音とバランス的にはほぼ同様の音がしました。エンハンス具合などはAVアンプさすがといったところではありますが。。。
これはすごい。というか、こんな簡単な処理を挟むだけでもなかなかマッチした機材はないものです。

そういう視点で探してみると、バスリダイレクション用の基盤自体はAmazonにもいくつも売られています。クロスオーバー周波数が固定でいいなら配線を分解して基盤を挟むという解決方法もありですね。

これでリアルサラウンド5.1chを実現!

これでリアルサラウンド5.1chを実現しました。Nintendo Switchにはサラウンドのテスト機能があるため、再生ボリュームのバランス調整も容易にできます。
実際スプラトゥーン2をやってみると音からの情報が飛躍的に増しています。これで少しは強くなるかもしれない。。。!笑

と、冒頭でも紹介した通り、Tiamatは7.1chです。7.1chと5.1chの違いについても触れておきましょう。
5.1chと7.1chでは、Rearのサラウンドパートが存在するかどうかの違いがあり、違いという意味ではほぼそれのみです。
「ほぼそれのみ」という言葉には意味があります。

https://ja.wikipedia.org/wiki/サラウンド
が示す通りサラウンドは5.1chのスピーカー配置が基本になっています。
次が7.1chと5.1chのサラウンドパートの配置比較です。5.1chとよく似ており、サラウンドLRスピーカーの配置角度も調整範囲内に両者の一致部分が存在します。

http://www.goodtheater.jp/knowledgesplayout.htm
このことからわかるように、5.1ch再生のポテンシャルは十分に発揮されていると言えます。

そしてまだRearの2chが残っています。
これを何に使うか、をTiamatに最後に残された楽しみとして考えてみましょう。

残されたRearチャンネルをボイスチャット専用として使ってみる。

上記を配線したところで、Tiamat 7.1にはあとMicとRearの2つのチャンネルが残っています。
これらを使ってボイスチャットのセットアップをしてみましょう。
ここではiPhone / Discordを使ったボイスチャットを例にとります。
といっても他の機材を利用したとしても、仕組みはほとんど変わりません。
使う配線コネクタはこれです。同仕様のものであればなんでも構いません。
https://www.amazon.co.jp/dp/B01BV916AQ/

これを

上図のように配線します。これでiPhoneでDiscordを立ち上げ、ボイスチャットを始めるだけで、Rearをボイスチャット専用チャンネルとし、5.1chでスプラトゥーンを楽しみながら後ろから仲間の声が聞こえてくるという形でのボイスチャットが可能です。
ちょっとガンダムのコックピットに入っているような気分になります。

分離がしっかりしている分、声のボリュームをそこまであげなくても聞こえるため、スプラトゥーンのボイスチャットに最適な形のひとつと言えるのではないかと思います。

Tiamat 7.1は初期型とV2がありますが、初期型は下手するとmercariで10,000円くらいで買えたりする(し、スペックはV2とほとんど変わりません)ので、全部合わせても20,000〜25,000円程度の投資でスプラトゥーンでの5.1ch+ボイチャ環境が構築可能です。
環境マニアの方はぜひお試しください。